しょうもないなんて言わないの!
ある日、神様は言いました。
「こんな世界はいらない」と。
「嘘ばかりが満ち、嘘が正義のようなこの世界なんて
人間らしい人間がいないこの世界なんていらない。
こんな世界なんていっそのこと壊れてしまえばいいのに・・・」
神様の一言がそうさせたのか、
なぜか急に明日世界が滅びることになりました。
人々は嘆き、悲しみました。
でもいくら嘆いても、悲しんでも、世界はあと一日で滅んでしまいます。
恋人と最期まで愛しあう者、
結ばれないならと殺人を犯してしまう者、
頭が狂ってしまい暴れだす者、
ただただどうすることもできず呆然としている者、
そして、自ら命を絶ってしまう者・・・。
人間たちは最後の一日を人間らしく過ごしました。
惨めで、滑稽で、見るに堪えない姿をした人間を神様は呆然と見ていました。
「私が求めていたのは、こういう人間らしさ・・・だったのか?」
神様はそう呟きました。
でももう、この世界の終わりを防ぐことはできません。
もう遅かったのです。
そうして世界は消滅しました。
そしてまたその世界には人間が暮らしています。
昔と変わらずに嘘が飛び交っています。
でももう神様は世界を消そうとは思いませんでした。
今が一番人間なのだと気付いたのだから。